Webマーケティングに欠かせないSTP分析とは?顧客と市場を知って効果的な戦略を

Webマーケティングに欠かせないSTP分析とは?顧客と市場を知って効果的な戦略を

多くの商品が溢れかえっている市場で企業が生き残るには、ユーザーのニーズを捉えて、適切なターゲットに適切なサービスを提供することが大切です。ターゲット層を設定して効果的なマーケティング施策を打ち出すときに役立つのが、STP分析です。

今回は、Webマーケティングの基本となるフレームワーク「STP分析」の手法について解説していきます。

STP分析とは

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取って名付けられた、マーケティングフレームワークのひとつです。市場をグループ化してターゲット層を絞り込むことと、競合他社の中における自社の立ち位置を明確にすることがSTP分析の目的になります。

STP分析を行うと、以下のようなメリットがあります。

  • 顧客やニーズの分布が整理される
  • 自社のプロモーション戦略が明らかになる
  • 競合他社と差別化が図れる

ターゲットと自社の強みを明らかにすることで、より効果的なマーケティングが可能になるのがSTP分析の強みです。Webサイトの内容だけではなく、広告を打ち出すタイミングや媒体選びの際にも役立ってくれるフレームワークです。

ここからはSTP分析の手順について、詳しく説明していきます。

①セグメンテーション

セグメンテーションは、市場を細分化することを意味しています。まずはセグメンテーションで、同質のニーズを持つ顧客を数値的なデータによってグループ化していきます。この作業によってユーザー像をより明確にし、具体的なペルソナを設計することができるようになるのです。

たとえば、新しい商品としてストッキングを発売するとしましょう。この場合、想定されるユーザーは女性です。また、学生はあまりストッキングを使用しないため、18歳以上の女性をメインのターゲットに設定します。これは、「性別」や「年齢」でセグメンテーションを実施したことになります。

このように、いくつかの指標を使って市場をグループ化することで、自社の商品を購入してくれる見込み客を明確にしていくのがセグメンテーションです。指標にはいくつか種類がありますが、以下のような指標が用いられることが多いです。

  • 人口動態変数(性別・年齢・家族構成・職業など)
  • 地理的変数(国・気候・都道府県など)
  • 心理的変数(性格・ライフスタイルなど)
  • 行動変数(知識・購買パターン・購買状況など)

②ターゲティング

ターゲティングでは、細分化した市場の中でどこを狙うべきかを明らかにしていきます。セグメンテーションが「グループ化する」作業であったのに対し、ターゲティングは「絞り込んで選ぶ」作業となります。この作業は、商品を売り込むべきターゲット層を明確にすることが目的です。

実際にターゲティングを行う際は、以下の3つの手法を用いることが多いです。

無差別型ターゲティング

セグメントのグループ化を無視して、商品をすべての市場に供給する手法です。「すべての人が手に取りやすい、低価格のストッキングを販売する」のが、この手法に当てはまります。経営資源が豊富な大企業に適した戦略です。

差別型マーケティング

いくつかのグループ化した市場に対して、ニーズに合った商品を提供する手法です。「むくみ対策ができるストッキング」や「伝線に強いストッキング」など、似た商品の中でも機能を変えて何種類も販売するは、この手法に当たります。

集中型マーケティング

限られた市場に対してのみ集中的に商品を提供する手法です。「1枚1,000円以上する肌触りのいいストッキング」を販売するのが、この手法に当てはまります。ニッチな商材や高級メーカーなどが用いることが多いです。

③ポジショニング

フループ化した市場の中には、当然のことながら競合他社もたくさん存在しています。競合他社や競合商品を見て自社の立ち位置を決定するのが、このポジショニングで行う作業です。

ここで用いられるのが、ポジショニングマップの作成。競合となる商品やサービスの特徴を表す属性から軸を決め、そこに既存商品と自社商品を落とし込んで、自社と他社の違いを明確にしていきます。

視覚的にも自社の立ち位置がわかりやすくなり、情報を整理する手助けをしてくれるでしょう。競合他社よりも上回っている価値や独自の価値など、市場で勝負ができる要素を探し出していきます。

ここまでの分析を行うことで、ターゲット層やマーケティング施策の方向性が明確になってくるでしょう。

STP分析をする際のポイント

STP分析を進めていくときは、意識しておきたいポイントがいくつかあります。

①それぞれの項目を複合的に考える

セグメント・ターゲティング・ポジショニングは、それぞれ作用する関係性であることを理解しおきましょう。たとえば、高所得層の女性に向けて良質なストッキングを販売したいのに、価格が安すぎるとターゲットがブレてしまいます。

それぞれの要素を複合的に考え、全てを満たす商品開発やマーケティングをすることが大切です。

②「3C」と「5R」で評価する

STP分析でターゲットとする市場や自社の立ち位置を明確にしたとしても、それが必ずしも正解であるとは限りません。「本当にニーズがあるのか」「ターゲットとなるユーザーは本当にいるのか」などを冷静に検証し、分析が正しかったかを振り返る必要があります。

そこで役立つのが、「3C」と「5R」の視点です。

【3C】

  • Customer(市場):市場規模や成長性、収益性の有無
  • Competitor(競合):競合他社の数やその優位性はどれくらいなのか
  • Company(自社):従来の戦略やブランド・資金などがあっているか

【5R】

  • Realistic Scale:有効な市場規模は十分か?
  • Rate of Growth:今後も成長する見込みのある市場か?
  • Rank & Ripple Effect:優位性や波及効果はあるか?
  • Reach:ターゲットに到達できそうか?
  • Rival:競合の中で選ばれる要素はあるか?

導き出した分析結果を客観的な視点で見つめ直す手助けになってくれるため、分析を終えたら上記の視点で再度ターゲティングやポジショニングを精査してみましょう。

③複数のフレームワークと組み合わせる

Webマーケティングに役立つフレームワークには、ほかにもSWOT分析というものがあります。SWOT分析とは、「強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」を分析することで、市場機会や事業課題を導き出すフレームワークのことです。

また、先ほど紹介した「3C分析」やマクロの環境要因に注目した「PEST分析」と呼ばれるフレームワークも存在します。マーケティング施策を講ずるときは、複数のフレームワークを組み合わせることで、より効果的な戦略が見えてきます。

STP分析で優れた施策は生まれる

市場をグループ化し、その中からどの市場を狙うのか、競合他社の中でどんな立ち位置を目指すのかを明らかにするのが、STP分析です。また、ニーズを細分化してターゲティングするとことは、ユーザー目線に立つことにもつながります。

どれだけ優れたマーケティング戦略が立てられるかは、STP分析に大きく左右されると言っても過言ではありません。競合他社の優位に立つ施策を講ずる際の基本となるフレームワークなため、しっかりと行っておきましょう。