ユーザーの流入経路を明確にできる「カスタマージャーニー」とは?進め方を解説

ユーザーの流入経路を明確にできる「カスタマージャーニー」とは?進め方を解説

Webに限らず、マーケティングにおいてターゲットの行動や思考を理解することは大切です。顧客の行動や思考を理解したいと考えている企業におすすめなのが、「カスタマージャーニー」というフレームワークです。

今回はカスタマージャーニーの目的やメリット、カスタマージャーニーの進め方について解説していきます。

カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニーは直訳すると「顧客の旅」という意味を持ち、企業の製品やサービス、顧客の意識の変化や体験、モチベーションなどを整理するフレームワークのことを指します。「顧客の行動」や「思考の変化」を時系列順に整理して図にしたものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。

カスタマージャーニーマップを作る目的やメリット

カスタマージャーニーマップを作成する目的は、複雑化している顧客の情報を把握して、マーケティング効果をアップさせることです。

従来まではテレビや雑誌などタッチポイントが限られていましたが、近年はSNSやホームページなどで情報収集ツールが増えて、顧客が購入するまでのプロセスが複雑化しています。だからこそカスタマージャーニーマップで顧客の行動を視覚化することで、顧客一人ひとりに訴求できる施策を打つことが重要なのです。

カスタマージャーニーを知るメリットとしては、ほかにも以下のようなものが挙げられます。

  • 顧客を深く理解できる
  • 顧客視点での施策を立てられる
  • 企業内で共通認識を持てる
  • コンテンツ作成時の着地点を見失わない

とくにマーケティングを複数のチームや部門で行うときは、ペルソナに対する認識やコンテンツ作成時の着地点にズレが生じてしまうことがあります。社内で共通認識を持って顧客目線のマーケティングを行う際は、カスタマージャーニーマップが非常に役立つでしょう。

カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーを整理する際は、カスタマージャーニーマップに落とし込んで視覚化することが非常に大切です。ここからは、カスタマージャーニーマップの作り方や進め方について解説していきます。

①ペルソナを定める

カスタマージャーニーマップを作成するとき最初に行ってほしいのが、ペルソナの設定です。

ペルソナとは、サービスや商品における典型的なユーザー像のことです。実際にその人がいるかのように定めることが重要で、年齢や性別、職業や役職などをリアリティのある詳細な情報を設定していきます。

ターゲットと似ていますが、ペルソナの設定ではターゲットの設定よりも深く詳しく人物について掘り下げていくところが特徴です。

ターゲット

  • 30~40代の女性、主婦、料理が好き

ペルソナ

  • 32歳の女性で、専業主婦
  • 都内在住
  • 夫、長男、長女の4人家族
  • 友人や親戚を招いたホームパーティーやバーベキューを好む
  • Instagramを利用することが多く、自身も始めたいと思っている
  • 情報収集はInstagramやTwitterがメインで、ブログやYouTubeはあまり見ない
  • 趣味はヨガ

このようにターゲットは想定する顧客の情報を非常に大まかに定めるのに対し、ペルソナではよりリアルな人物設定をする点が特徴です。

②着地点を定める

次に、カスタマージャーニーの着地点を定めていきましょう。着地点の一例としては「商品の認知度を高める」「リピート客を増やす」といったものが挙げられます。

着地点によって、カスタマージャーニーで集めるべき情報や打ち出すべき施策は全く異なってきます。正しく効率的に情報を集めるためにも、着地点は明確にしておいてください。

③目的に合ったフレームを定める

着地点がはっきりしたら、必要となる情報をマッピングしていくフレームを決定していきます。横軸と縦軸の表を用意し、横軸に購買プロセス、縦軸に顧客の行動や感情、施策などをマッピングしていくことが一般的です。

  • 横軸のフレーム:認知、興味関心、比較検討、購入、共有、参加
  • 縦軸のフレーム:タッチポイント、行動、思考・感情、課題、施策

例としては以上のものが挙げられますが、目的や商品に合わせて最適なフレームを選ぶようにしてください。

④顧客の情報を収集する

収集する情報が定まったら、実際に情報収集に移っていきましょう。顧客の実際の行動やタッチポイントなどだけではなく、感情などの内面的な要素についても収集することが大切です。

売上などの客観的なデータに加え、顧客満足度のアンケートやカスタマーサポートにおける対応履歴なども役立ちます。この段階でより顧客の体験に共感が深められると、具体的なアイデアが出てきやすくなります。

⑤マッピングする

必要な情報が集まったら、用意したフレームに合わせて顧客の行動や思考をマッピングしていきましょう。ネットや書籍では画像を多用したきれいなカスタマージャーニーマップが公開されていますが、実際はただの表にすぎません。作成はExcelなどでも構わないので、まずはあまり気負わずにラフにマッピングしていくことが大切です。

ある程度のマッピングが完了したら、限られたメンバーだけではなく各部署や役職を横断したメンバーで作業を進めていくことがおすすめです。多くの意見を取り入れることにより、多角的な視点による生産的なマッピングが可能となります。

⑥マッピングをもとにペルソナの行動パターンを整理する

マッピングが終わったら情報を整理し、行動や思考、感情をひとつのストーリーとして結びつけいていきましょう。この作業も、複数の担当者で行うことが非常に重要です。

参加していない人でもわかりやすいように、表やイラストなどを活用してカスタマージャーニーマップを完成させるとよりイメージしやすいものになります。

カスタマージャーニーマップ作成を進める上での注意点

カスタマージャーニーでは、細かいペルソナの設定やフレームに沿ったデータ収集が大切です。しかし、あまりにも細かく情報を盛り込んでしまうと、複雑化しすぎてしまい肝心の施策の策定が難しくなってしまうこともあるため注意が必要です。

たとえば、カスタマージャーニーマップ作成の失敗例としては以下のようなものが挙げられます。

  • フレームを細かくしすぎてしまい、情報収集が終わらなかった
  • ペルソナの行動を数年単位で落とし込んだが、複雑すぎて活用できなかった
  • 多くの課題を洗い出したが、優先順位をつけられず改善が進まなかった

このように、始めからカスタマージャーニーの理解を完璧に進めようとしたり複雑にしすぎてしまうと、事業に活かせないものに仕上がってしまうことがあります。まずはラフにマッピングを始め、他部署の手も借りながら少しずつブラッシュアップしていくと、実用性の高いカスタマージャーニーマップにすることができるでしょう。

マーケティングの後押しにカスタマージャーニーを活用しよう!

カスタマージャーニーマップは、顧客理解を深めてより訴求力の高い施策を立てるためには欠かせないフレームワークです。社内の共通認識を作り、足並の揃った目標設定を可能にしてくれる効果もあるので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

マップは一度作ったら終わりではなく、市場や顧客の変化に合わせて更新していくことが大切です。定期的に内容を見直し、より最適な施策を導き出せるように管理しておきましょう。