効率的なマーケティングや事業成長には、目標が欠かせません。目標があることによって今やるべきことが見えてきて、正しいプロセスで前進することができるのです。
ビジネスにおける目標設定のことを、「KPI」や「KGI」と呼ぶことがあります。今回は、ビジネスシーンでよく出てくるKPIとKGIについて解説していきます。
KPIやKGIってどんなもの?
KPIやKGIは非常に名前が似ていますが、内容は全く異なるのものです。まずは、それぞれの違いについて解説していきます。
KPIとは
KPIとは「Key Performance Indicators」の略で、日本語に翻訳すると「重要業績評価指標」という意味を持ちます。組織が掲げる売上高などの目標に対して、どれほど到達しているのかについて評価する中間指標のことです。後に控える最終的な目標(=KGI)に到達するために、どのようなプロセスを踏めばいいのかについて決めていきましょう。
たとえば、「5年で商材の売上を30%上昇させる」ことが最終的な目標のときは、以下のようにKPIを設定していくことになります。
- 半年後には平均客単価を1.5倍にする
- 人件費と原材料コストを15%削減する
- 問い合わせ件数を月平均20件増加させる など
KPIの内容
KPIはやみくもに設定すればいいというものではなく、以下の5点を押さえた上で設定していくことが重要です。
- 具体的(Specific)
目標が具体的かつ明確で、社員が同じように理解・解釈できる - 計測可能(Measurable)
目標の効果を定期測定・評価分析可能 - 達成可能(Achievable)
現実的にチャレンジできる目標設定になっている - 関連した(Relevant)
個人と企業全体の目標、KPIとKGIとの関連性 - 期限を定めた(Time-bound)
明確な期限が定められている
上記をまとめたものを「SMARTモデル」と呼び、適切なKPIにする上で非常に重要となる要素です。
KGIとは
KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、最終的目標への到達度合いを計測する指標のことです。日本語に翻訳すると、「重要目標達成指標」という意味を持ちます。「中間目標」を定めるKPIに対し、KGIでは最終的な目標を定めていくことになります。最初にKGIを決め、そこからプロセスを細分化して実現可能なKPIにつなげていきましょう。
KGIを定めるときは、曖昧なものでは意味を成しません。誰が見ても判断できるように、具体的な数字を盛り込んで客観的な判断ができるようにしておくことが大切です。
たとえば「お客様満足度を向上させる」だけでは、KGIとしては不十分だと言えます。このままでは曖昧すぎて、どのようなKPIにすればいいのかをイメージできません。このときは、「3年でリピート客を30%増やす」「3年後までに平均単価を5,000円から4,000円までに増やす」という内容に直してあげましょう。
KGIの内容
KGIは企業の最終的な目標なので、具体性をもたせる必要があります。Webマーケティングの場合は、以下のような指標を用いることが多いです。
- インプレッション数
- CV数
- CVR
- サイト流入数
なんとなくや理想論ではなく、現実的に到達できるKGIにすることが大切です。現実的ではないKGIにすると、逆に社員のモチベーションが下がってしまうことがあるためです。
KSFとは
似たような言葉で、KSFという言葉が使われることもあります。KSFは「Key Success Factor」の略で、「重要成功要因」という意味を持つ言葉です。わかりやすく言うと、ビジネスを成功させるために必要となる要因のことを指します。
KSFとしては、市場の動向や競合の動きなどの外部要因と、自社の強みやKGIとセットで達成に必要な要素などの内部的要因の2種類があります。KGIを達成するにはKSFの変化にあわせてマーケティング戦略を変えていくことが重要です。
KPIやKGIを設定するメリット
そもそも、ビジネスではなぜKPIやKGFを設定する必要があるのでしょうか。ここでは、KPIやKGIのメリットについてご紹介していきます。
①進捗を可視化できる
目標を数値化することで、現時点での目標達成率を正しく把握できるようになります。目標の達成率がわからないままだと、間違えた方向性に進んでしまっているときに気づけず、軌道修正ができません。現在打ち出している戦略が本当に正しいのか、施策に対する効果がどれくらい出ているのかを分析する上で役立つので、KPIやKGIは非常に重要なのです。
②目標が可視化されてモチベーションが高まる
KPIやKGIを共有することで、社員同士で目標やゴールの共通認識が深まるため、モチベーションや仲間意識が高まります。
たとえば「営業活動によるさらなる新規ユーザーの開拓」を目標に掲げても、各社員は具体的にどれほど営業数を増やせばいいかが分かりません。「6ヶ月で新規ユーザー300人獲得(=KGI)」「毎月1ヶ月あたり20件テレアポ数を増やす(=KPI)」と決めてあげれば、目標が具体性を持つようになります。どれほど目標を達成できているかが可視化されるため、モチベーションの維持ができるでしょう。
③やるべきことが見えてくる
ビジネスにおいて、目標達成他のために複数のタスクを抱えてしまうことは仕方のないことです。マルチタスクが苦手なの中には、どの仕事を優先させて進めたらいいかわかなくなって混乱してしまう方も多いかもしれません。
KPIやKGIがあれば目標に直結する仕事が見えてくるので、効率的に業務が進められるようになります。KPIやKGIは、マルチタスクが苦手な方には非常に有効です。
OKRも押さえておこう
近年注目されている「OKR」についても知っておきましょう。OKRは「Objective and Key Result」の略で、日本語では「目標」と「目標に必要な成果」と訳されます。
OKRは以下の2つの要素で構成されています。
- 目標(Objective)
組織のパフォーマンス全体を高めるような目標。簡単に到達できる目標ではなくギリギリのものにすることが重要。到達度合いが60~70%になるようにする。 - 成果指標(目標に必要な成果)
具体的かつ明確な期限・数字にする。数字として測定可能で、納期を明確にすることが重要。
OKRの目標は、定性的に定めることも可能です。「業界で一番の顧客満足度を目指す」などといった目標でも構いません。
長期的なスパンで設定して柔軟性に欠けるKPIやKGIに比べ、OKRは1~3ヶ月ごとに見直して柔軟性や変化を容認するところが特徴です。必ず「次のステップへの足がかり」を盛り込むことも、KPIやKGIとの大きな違いだと言えるでしょう。
KPIとKGIの違いを理解して効率的なビジネスを
KPIとKGIは名前が非常に似ていますが、目的や役割りは全く異なります。KPIやKGIを設定することで社員が目標を共有でき、社員の頑張りに対する評価を公平にする手助けもしてくれます。
もしもKPIを達成してもKGIに近づけないときは、そもそもKPIが間違っている可能性が高いです。OKRも活用しながら、外部環境や内部環境に合った目標設定をしていきましょう。