「機会」と「脅威」を見極めるPEST分析とは?社会全体からWebマーケティングを捉える

「機会」と「脅威」を見極めるPEST分析とは?社会全体からWebマーケティングを捉える

マーケティングをする際は、企業の内部や市場などを含むミクロ的な視点だけではなく、自社を取り巻くマクロ的な視点も非常に大切です。企業を取り巻く社会的な要因や技術的な要因などを分析するフレームワークとして、「PEST分析」が存在します。

今回は、PEST分析を分析する方法やポイントについてご紹介していきます。マクロ環境を効率よく分析して、効果的なマーケティング施策を考案していきましょう。

PEST分析とは?

PEST分析とは、「P:Politics(政治的要因)」「E:Economy(経済的要因)」「S:Society(社会的要因)」「T:Technology(技術的要因)」を分析するフレームワークのことです。

企業は常にマクロ環境の変化の中にあり、中長期的な施策を打ち出すときはマクロ環境の把握が欠かせません。政治の流れや経済の流れなどを分析することで、3~5年後の未来に向けて商品開発やマーケティング施策を打ち出すことが可能となります。

PEST分析の目的

PEST分析の目的は、先述した通り中長期的なマクロ環境分析を通してマーケティング施策を講ずることです。マクロ環境はどんなに自社で努力しても変えることはできず、企業は置かれた環境に適応してビジネスを進めていく必要があります。したがって、正しく環境を把握して、社会やトレンドの変化を掴んでおくことが重要なのです。

うまくトレンドに乗った施策が打ち出せれば、大きなヒットが生まれることもあります。PEST分析は、業界で生き残るためには欠かせないフレームワークだと言えるでしょう。

PEST分析で分析する4つの要因

それでは、PEST分析ではどのような要因について分析していけばいいのでしょうか。ここからは、PEST分析の分析内容について詳しくみていきましょう。

P:Politics(政治的要因)

法律や政権交代、税制や規制緩和など強制力をともなう政治の動向を分析していきます。規制などが変わると市場での競争方法自体が変更になることも多く、ビジネスや市場に大きな変化をもたらすことになってしまいます。もしも変更が自社無関係なものでも、影響が波及して自社にも影響を及ぼしてしまうこともあるかもしれません。

とくに、法律や税制の改正には注意が必要です。変更があった場合はユーザーの市場の変化を細かくシミュレーションし、どのような影響が考えられるのかを分析しておく必要があります。

E:Economy(経済的要因)

為替や金利、物価や消費動向などを分析し、価格連鎖にどのような影響が及ぼされるのかを把握していきます。国内だけではなく、各国の金利や経済動向にも着目することが分析時のコツです。輸出入を行っている場合は1円の変化でも利益やコストに大きな変動があるため、長期的な予測を立ててリスクを減らす対策を取るようにしてください。

企業の利益や商品の適正価格は、需要と供給のバランスによって大きく左右されます。経済動向を分析して風向きが怪しいようであれば、原材料や人件費を削る、事業撤退などの対策も視野に入れておく必要があります。

S:Society(社会的要因)

社会的要因は、企業やユーザーを取り巻く社会全体を指します。ライフスタイルの変化や価値観の変化、流行などがここに含まれます。法改正や数字のように明確な変化基準があるものではなく、漠然かつ広範囲に渡る調査となるため、少し難しい分析になるかもしれません。

一般的に分析されることが多いものとしては、「人口動態や構成・世帯」「流行や世論」「教育や言語」「社会的事件や大きなイベント」などが挙げられます。リモートワーク普及によるWebカメラの売上増加や、新型コロナの流行によるマスク需要拡大などがわかりやすい一例です。

T:Technology(技術的要因)

最後は、技術の進歩により生じる変化を分析していきます。大きな技術の進歩があった場合、従来の市場を大きく揺るがす問題につながる可能性があります。進歩によって享受できるメリットだけではなく、市場にとっての脅威についてもしっかりと分析していきましょう。たとえば、スマホのカメラ技術の進歩により、デジタルカメラの需要は大きくダウンしてしまいました。

ここでは、現在研究中でこの先市場を大きく揺るがす可能性がある技術についても、しっかりとリサーチしておきます。将来起こりうる脅威に対して先手を打っておくことで、技術革新による脅威を回避することが可能となります。

有意義なPEST分析を行うためのポイント

PEST分析をより有意義なものにするためには、分析の際に意識したいポイントについて理解しておくことが大切です。ここからは、そもポイントについて3つ解説していきます。

①「機会」と「脅威」の両方に着目する

単にマクロ環境について情報収集してまとめただけでは、PEST分析は何の意味も持ちません。まとめたマクロ環境の情報と自社を取り巻くミクロ環境を組み合わせ、そこから「機会」と「脅威」を見極めることで、有意義な分析となります。

たとえば、スマートフォンの需要増加はスマートフォンメーカーにとっては「機会」になりますが、カメラ業界にとっては「脅威」となります。このように、マクロ要因の変化が追い風になるか向かい風になるかは、業界によって異なるのです。分析した内容一つひとつを「機会」と「脅威」に分類することで、脅威を回避して機会を掴むビジネスをすることが可能となります。

②「過去」と「未来」に着目する

PEST分析では過去や今の変化に着目しがちですが、今後考えられる変化についてもしっかりと分析していく必要があります。現状の変化に対して後追いで施策を打ち出しても、情報感度の高いライバルに勝つことはできません。常に数年後の未来を見据え、先出しで施策を打ち出していくことを心がけましょう。

たとえば日本では、晩婚化の流れによって単身世帯の増加が今後ますます増加されていくことが予想されます。この社会的要因を踏まえると、もしかしたら「お一人様専用の焼肉店を開く」というビジネスアイデアが成功するかもしれません。

このようにPEST分析では、過去や現状から導き出される未来を見据えたマーケティング施策を講ずることが重要です。

③複数の要因を組み合わせて考える

PEST分析ではそれぞれの要因を別物として捉えるのではなく、組み合わせて分析することが重要です。たとえば経済全体が好調だったとしても、社会が混乱しているときにビジネスを始めて成功できないかもしれません。全てのマクロ環境を複合的に捉え、機会やリスクを見逃さないようにしてください。

また、PEST分析は「SWOT分析」や「3C分析」などと組み合わせて考えることで、より高い効果を発揮してくれます。

PEST分析で「機会」と「脅威」を見極めよう!

政治・経済・社会・技術に対する4つの視点から、現在だけではなく未来に対するマーケティン施策の考案に役立つPEST分析。教育改革や働き方改革、価値観の多様化が進む現代の日本で今後ビジネスをする上で欠かせないフレームワークになっていくことは間違いありません。

生き残れるビジネスのためにも、「機会」と「脅威」を見極められるPEST分析を活用していきましょう。