注文一覧を開き、同じ数量や金額を別の表へ写す。毎月繰り返す作業を見ると、自動化できそうだと感じます。ただ、「時間がかかる仕事」をそのまま丸ごと自動化しようとすると、途中の判断や例外が見えてきます。最初は、決まりを説明できる一工程から考えます。
帳簿を写す仕事の中にも、違う作業がある
例えば、注文内容を売上の台帳へ転記する仕事を想像してください。実際には、次のような作業が混ざっているかもしれません。
- 対象月の注文一覧を集める。
- 会社名の表記違いを確かめる。
- 商品、数量、単価を決まった列へ写す。
- 取消しや値引きの扱いを担当者に確認する。
- 合計を確かめて、社外へ送る書類を確定する。
このうち、決まった列へそのまま写す作業と、担当者に条件を確認する作業では、必要な仕組みが違います。先に分ければ、転記だけを自動化して判断は残す、といった進め方ができます。
最初の候補は、四つの観点で選ぶ
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 繰り返す頻度 | どのくらいの間隔で行い、一回にどれだけ手間がかかるか |
| 決まりの明確さ | 入力と出力の対応を、担当者以外にも説明できるか |
| 例外 | 空欄、重複、取消しなどが起きたら、どう判断するか |
| 誤りの影響 | 間違えても社内の確認で止められるか。外部送信や支払いまで進むか |
頻度が高く、手順が一定で、結果を確認してから使える作業は、最初の候補として考えやすくなります。逆に、年に一度しか使わず、毎回条件が変わる作業では、作る手間や保守のほうが大きくなる可能性があります。
頻度だけで切り捨てる必要もありません。入力ミスを減らすことや、特定の担当者しかできない状態を変えることが目的なら、その効果も判断に含めます。
曖昧なものを、勝手に処理させない
「株式会社○○」と「(株)○○」を同じ会社として扱う場合でも、似た名前の別会社があれば間違えます。会社名だけで判断せず、共通の顧客番号を使えるかを確かめます。
番号がない、必要な欄が空、同じ注文が二つある。こうした入力を見つけたら、推測して埋めるのではなく、要確認の一覧へ出す方法があります。自動化する範囲と、人が見る範囲を決めておくと、無理に全部を処理する必要がなくなります。
確認する項目や、確定・送信の前に止める場所は、自動化するときに人の確認を残す設計で詳しく扱っています。
また、同じ一覧をもう一度読み込んだとき、台帳に二重追加されないかも確認します。一回動いたことと、毎月安心して使えることの間には、このような条件があります。
最初は、原本を変えずに結果を比べる
試す段階では、元の表を残したまま、別の確認用ファイルへ結果を出します。通常のデータだけでなく、空欄、取消し、重複、月をまたぐ注文など、実際に扱う条件を含めます。
従来の作業結果と比べて、件数、金額、日付、取引先の対応が合うかを確かめます。違いが出たら、自動処理の誤りか、元の手順の違いかを一つずつ確認します。この段階では外部への送信や確定処理までつなげないほうが、結果を見直しやすくなります。
動かす人と、困ったときの戻り方を残す
自動化した後にも、入力を用意する人、結果を見る人、エラーを確認する人が必要です。元のファイルの列が変わったとき、誰が調整するかも決めます。
操作手順には、開始方法だけでなく、成功の確かめ方と、途中で止まった場合の対応も残します。手作業へ戻す場合に必要な元資料を保持しておくことも、運用の一部です。
最初に書き出すのは、「何を使って自動化するか」より、「どの資料の、どの項目を、どこへ写しているか」です。それを一工程分だけ説明できれば、自動化できる部分と、先に整理すべき部分が見えてきます。
対象が決まったら、既存サービスで対応するか、小さな道具を作るかを、運用する担当者の負担も含めて検討できます。