ちょっとした転記や集計を楽にしたいとき、既存のサービスを契約する方法も、小さなプログラムを作る方法もあります。選ぶ基準を「月額料金がかかるか」「作れるか」だけにすると、使い始めた後の仕事が見えにくくなります。
既製品の棚と、寸法に合わせた棚
収納棚なら、既製品で必要な物が収まれば、それで用が足ります。組み立て方が分かり、部品を手配しやすいことも利点です。
一方、設置場所や収納する物に合わなければ、寸法に合わせて作る意味があります。ただ、その棚の構造を一人しか知らず、移設や修理を頼めないと、後で困るかもしれません。
業務の道具も、仕事への適合と、使い続けるための管理を一緒に見ます。機能が多いことも、細かく作り込めることも、それだけで良い選択とは言えません。
まず、今ある道具でできない理由を確かめる
専用の仕組みを増やす前に、今使っているサービスの設定や出力機能で解決できないかを確認します。入力項目をそろえるだけで転記が減るなら、新しい開発をしなくても改善になります。
そのうえで足りない部分がある場合、「帳票を指定の形に整える」「二つの一覧で番号を照合する」など、必要な仕事を具体化します。「社内業務を全部まとめたい」より、必要な道具の範囲を判断しやすくなります。
転記が中心の仕事なら、最初に自動化する一工程の選び方で、決まった処理と例外を分けられます。
既存サービスを使う場合にも、管理は残る
既存サービスなら、ソフトウェア本体の更新や機能改善を提供元が担います。しかし、社内の利用者、権限、入力ルール、設定、問い合わせの窓口は自社側でも管理が必要です。
確認したいのは、現在の仕事ができるかに加えて、使う人数や量が変わったときの条件、データを取り出す方法、提供元の変更に対応できるかです。便利な機能でも、実際に使う担当者が扱えなければ定着しません。
今のソフトから移る場合は、業務ソフトの乗り換えで見ておきたい費用と作業も比較に含めます。
業務手順をサービスに合わせて変えることが、かえって整理につながる場合もあります。今の手順をそのまま再現することが、本当に必要かも考えます。
自分たちで作るなら、作った後の担当を決める
独自の道具は、自社の入力や出力へ合わせられます。一方、元のファイル形式が変わる、連携先の仕様が変わる、担当者のパソコンが替わるといった変化への対応も必要です。
作る前に、少なくとも次を説明できる状態にしたいところです。
- どの入力を受け取り、どの結果を出す道具か。
- 正しく動いたことを、利用者がどう確かめるか。
- 動かなくなったとき、誰が原因を調べて直すか。
- 作った人が対応できない場合、何を見れば引き継げるか。
操作が簡単でも、内部の保守まで簡単とは限りません。完成品に加えて、動作条件、設定方法、確認用のデータや手順が残ることが、引き継ぎやすさにつながります。
全部を同じ方法にそろえなくてもよい
顧客や請求の正式な記録は既存サービスに置き、取り込む前の整形だけ小さな道具で行う。こうした組み合わせも選択肢になります。
ただし、つなぐ道具が増えれば、確認する箇所も増えます。どこに正式なデータがあり、どの処理がそれを変えるのかを説明できる範囲に収めます。
最初の判断では、実際の仕事を一つ通して試し、入力から確認までの負担を比べると具体的になります。「作れるから作る」でも「既存なら管理不要」でもなく、必要な仕事を、担当者が続けられる形にできるか。その条件を満たす範囲で道具を選びたいと考えます。