ホームページの制作を相談すると、WordPressを使う案が出てくることがあります。名前を聞いたことがあり、多くのサイトで使われているなら、安心して選べそうに感じるかもしれません。
ただ、自社で更新するための管理画面を用意しても、実際には誰も使わず、修正は毎回制作会社へ依頼する。そうした運用なら、その仕組みを維持する必要があるのか、考える余地があります。
ホームページの情報を更新していなくても、導入したシステムの保守は必要です。 自社で何を更新するのかが決まっていない段階なら、WordPressを使うかどうかの前に、CMSが必要かというところから考えてみてください。
WordPressが広く使われていることと、自社に合うこと
CMSは、文章や写真を管理画面から追加・変更できる仕組みです。WordPressはその一つで、お知らせやブログの記事を投稿したり、画像を掲載したりできます。デザインや機能を広げるための仕組みも用意されています。WordPress公式の機能説明
2026年10月9日時点のW3Techsの調査では、CMSを判別できた日本語サイトのうち、WordPressを使うサイトは82.9%でした。これは日本の中小企業全体の採用率でも、ホームページ全体の割合でもありませんが、この調査対象では圧倒的に多く使われています。W3Techsの日本語サイトにおけるCMS利用状況
この数字が示すのは、どの仕組みが多く使われているかです。自社で必要な機能や、公開後に担当できる仕事まで判断してくれるものではありません。
WordPressには、自社で記事を追加したり、必要な機能を組み合わせたりできる利点があります。その利点を自社で使う予定があるかどうかが、導入を考える出発点になります。
「自社で更新できる」と「実際に更新する」は違う
例えば、会社概要、事業内容、設備の紹介、アクセスを掲載する製造業のホームページを考えてみます。情報の変更は年に数回で、写真や文章の差し替えは制作会社へ依頼する運用です。
その会社にWordPressの管理画面を用意しても、社内で使う人がいなければ、更新作業の進め方は変わりません。それでも、管理画面や追加した機能を維持する仕事は発生します。
一方、施工事例を継続して掲載したい工事会社なら、写真を集め、説明文を用意し、社内で公開できる仕組みが役立つ可能性があります。ただし、管理画面を導入するだけで事例が増えるわけではありません。写真を集める人、文章を書く人、公開前に確認する人も必要です。
どちらも説明のための例ですが、判断したいのは「更新できたら便利そう」という期待を、実際の仕事にできるかどうかです。更新する項目と担当者が決まっていれば、必要な管理画面も具体的に考えられます。
情報を更新しなくても、システムの保守は必要
ホームページの「更新」には、掲載する情報を変える仕事と、システムを維持する仕事があります。
お知らせを投稿する、料金を直す、写真を差し替えるのは、掲載情報の更新です。WordPress本体、デザインを担うテーマ、機能を追加するプラグインを更新したり、バックアップを取ったりするのは、システムの保守です。
掲載情報を何か月も変えていなくても、システム側の対応が不要になるわけではありません。WordPressの公式資料でも、本体やプラグインを最新に保つこと、バックアップを取ること、アクセスを制限することなどが案内されています。WordPress公式の安全対策に関する案内
管理画面への不正なログインや、ソフトウェアの弱点を狙う攻撃への対策も必要です。更新機能を使っていなくても、その仕組みが公開サーバー上に残っていれば、保守と安全対策の対象になります。
WordPressを使う場合は、自社で記事を投稿する人と、システムを保守する人を分けて決められます。社内で発信し、保守は外部へ任せる運用もできます。ただし、その費用や対応範囲は制作時に確認しておく必要があります。
使う予定のない更新機能のために、保守する仕組みや攻撃される入口を増やす必要があるのか。 GENEVISでは、そこも含めてホームページの構成を考えたいと思っています。
CMSを設けないホームページでは、何が変わるのか
会社案内を中心に、変更は必要なときに制作会社へ依頼するなら、CMSを設けない構成も選べます。
例えば、あらかじめ用意したページのデータを閲覧者へ届ける「静的サイト」を、社内で編集する管理画面を設けずに作る方法です。文章や写真を変更するときは、制作会社がページのデータを修正して公開します。
維持する仕組みと、攻撃される入口を減らせる
公開サーバー上にWordPress本体やテーマ、プラグイン、管理画面を置かない構成なら、それらに対する保守や安全対策は不要になります。そのCMSの管理画面に不正ログインされたり、プラグインの弱点を悪用されたりする入口自体を持たずに済みます。
使っていない機能を安全に維持し続けるより、必要な機能に絞って構成を簡単にする。この考え方は、社内に専任のIT担当者がいない会社でも検討する価値があります。
ただし、静的サイトにも管理は必要です。サーバーや公開用アカウント、ドメインの管理、ページのデータの保管は残ります。問い合わせフォームを設ける場合は、その仕組みへの安全対策や動作確認も必要です。減らせるのはCMSに伴う管理対象で、ホームページ全体のリスクがなくなるわけではありません。
変更の依頼には、費用と対応時間がかかる
管理画面を設けない場合、社内の担当者がその場で文章や写真を直すことはできません。変更内容を制作会社へ伝え、修正結果を確認する流れになります。
年に数回の変更なら、その都度依頼する運用で十分なこともあります。一方、毎週メニューを変える、急な休業をすぐ案内する、採用条件を頻繁に見直すといった会社では、外部への依頼で必要な時間に間に合うかを考えなければなりません。
制作時には、変更をどう依頼するか、通常どのくらいで対応するか、急ぎの場合はどうするか、費用は都度見積もりか契約に含まれるかを確認します。更新回数が少なくても、一度の変更を急ぐことがあるなら、それも判断材料です。
制作費だけでなく、公開後の費用と仕事を比べる
CMSを設けない構成が、必ず安くなるとは限りません。ページの内容やデザイン、必要な機能によって制作費は変わり、変更を依頼する費用もかかります。
WordPressを使う案と比べるなら、制作費に加えて、サーバーなどの利用料、システムの保守、文章や写真の修正依頼、社内で操作や投稿に使う時間まで見ます。
管理画面を用意して社内で更新する費用と、必要なときに更新を依頼する費用。自社の更新予定を当てはめて比べると、続けられる運用を選びやすくなります。
自社で更新する必要があるなら、その範囲を決める
CMSを設ける価値があるのは、管理画面を使って進めたい仕事がある場合です。事例を継続して追加する、担当者が採用情報を変更する、営業日のお知らせをすぐ公開する。こうした必要があり、作業する人も決まっているなら、WordPressを含めたCMSが選択肢になります。
サイトのすべてを社内で編集できるようにする必要もありません。お知らせと事例は社内で更新し、ページの構成やデザインの変更は外部へ依頼する、といった分担も考えられます。
相談前には、次の項目を分かる範囲で書き出してみてください。
| 確認したいこと | 具体的に考える内容 |
|---|---|
| 何を変更するか | 会社情報、料金、営業時間、事例、採用条件など |
| どのくらい変更するか | 年に数回、毎月、毎週など、実際の予定 |
| 誰が作業するか | 社内で入力する人がいるか、外部へ依頼するか |
| どのくらい急ぐか | 数日待てるか、その日のうちに反映したいか |
| 誰が保守するか | システムやサーバーの管理、不具合対応の依頼先 |
今あるホームページを見直す場合も、この整理から始められます。WordPressを使っているという理由だけで、作り替える必要はありません。今後の更新予定、現在の保守状況、移行にかかる費用を確認し、今の仕組みを生かすか、構成を変えるかを判断します。
契約先や管理者が分からない場合は、会社のホームページとメールの管理情報を確認する方法も参考になります。
CMSが必要かというところから、ご相談いただけます
GENEVISでは、サイト制作を考える際に、掲載したい内容と公開後の更新方法を一緒に整理します。自社で更新するための管理画面を設けるか、必要なときに変更をご依頼いただく構成にするか。維持する費用や仕事も含めて考えます。
「WordPressで作りたい」と決まっていなくても、ご相談いただけます。「今の管理画面を使っていない」「更新は年に数回だが、保守費用がかかっている」といった現在の状況からで構いません。
新しく作る場合も、今のホームページを見直す場合も、初回相談でお知らせください。自社で更新する仕組みが必要か、変更の都度ご依頼いただく形が合うかというところから、一緒に整理します。
この記事のきっかけは、Web担当者Forum「上場企業のCMSシェア、1位はダントツでWordPress、では2位は何?」です。ここでは、その利用状況を参考に、中小企業が自社の運用に合わせて仕組みを選ぶ判断を整理しました。